あの人は、きっと縁そのものなのだと思う。そして、最後の願いのような、そんな存在だったのだ。きっと、私にとっても、他の誰にとっても。
だからこそ、断ち切ろうとしたのに。断ち切れたと思ったのに。

(なのに、まだ、あなたの声が消えないんです…)

頭に響く、春のように穏やかな声音。ああ、何も知らなかったあの頃に、戻れたなら。あの時あの場所あの瞬間、あなたが、私の隣にいてくれたなら。
そうしたら、別の未来があったのだろうか、だなんて。

「…今更、ですね」

嘲るように呟いた言葉が、じんわりと自身の中に染み渡る。もしもなんて、ない。当たり前のことだけど、悲しかったし、切なかった。
だから、少しくらい、願ってしまうのを許してほしい。あの人が隣にいる世界が、夜空に瞬く無数の星の向こうの、どこかに存在するんじゃないかと。静かに瞼を閉じて、遠い世界の幸せに思いを馳せる。
瞼を開けたら、今までのことは質の悪い悪夢で、目の前には苦笑したあなたがいるんじゃないかなんて、叶わない願いを抱きながら。
ゆっくりと重い瞼を持ち上げても、やはり彼の人はどこにもいなくて。

(失くしてから気付くなんて、)

私も大抵愚かですね、と呟いた赤紗の言葉は、夜の空に溶けて消えてしまったのだった。






(そうして、わたしはなんどもあなたをうしなう)



景世を思う赤紗がだいすきです!
景世を思っては、その想いを自ら殺す赤紗がたまりません
(わたしはなにか、赤紗のキャラを間違ってる気がする笑)

景世っていう存在は、縁。と言うのは赤紗だけじゃなくて、マキナやオーリにとっても同じで
切ろうとしても切れないもので、自分と自分以外の全てを繋ぐ存在じゃあないかなという妄想から生まれました
実はマキナの、景世との縁切りが出来なかったと言う本編のお話がきっかけだったり

みんな、赤景にはまればいい!
(急に赤景がマイナーすぎて、さみしくなったらしい)














inserted by FC2 system