Letter


Later 







朝起きて、身支度をし、朝食を食べる前に郵便受けを覗く。そこには毎朝、新聞とひとつの手紙が自分を待ってる。
新一はいつもと同じように新聞と差出人が書かれていない真っ白な、赤い蝋で封をしているその手紙をとって玄関へと帰った。
玄関の扉を後ろ手で閉め、まずは新聞を広げ、ざっと目を通す。一面には昨日自分が解決した事件が賑わいを見せている。それでもその記事の中に自分の名前は載っていなかった。ただ、ある少年Sと明記されているだけだ。
それに少し眉をひそめながら(イニシャルだけでも新聞に載るようなことは避けたいのだ)新聞をたたみ、脇に挟んで手紙の封を切った。
いつもと同じ真っ白な封筒。初めて家に届いたときはその純白さから、あの気障な怪盗を思い浮かべたのだが、ロゴ入りの封印を見て、すぐにその考えを改めた。
腐った林檎と、FBIにつけられた標的名を好んで使うなど・・・いやはや、彼女らしいと苦笑しながら手紙を読む。



愛しのシルバーブレッド、お元気ですか?


いつもと同じ一文。
彼女と自分だけの、このコードネームは密やかに広まりつつある。
新一はコーヒーを口に運びながら、ベルモットからの手紙をゴミ箱に投げ捨てた。
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