星と野良犬








今日も、彼は来なかった。その前もその前の前もその前の前の前も・・・数えるくらい嫌になるずっと前から、彼は現れなかった。
何度予告状を出しても、何度暗号の中に逢いたいと伝えても、彼はまるで自分には興味がないとばかりにことごとく無視されている(実際、本当に興味等ないのだろう。警視庁を盗聴しているとき、彼本人の口から泥棒になど興味はないときっぱり断言されてしまい、1ヶ月程落ち込んだ過去がある)
彼がまだ江戸川コナンであったときはそれなりに相手をしてくれたのに、自分との追いかけっこはそんなにつまらないだろうか?今まではそれなりに彼の方も楽しんでいてくれていたと思ってたのだが、それは自分の勘違いに過ぎなかったのだろうか?



「―・・・んい、ち・・・」



快斗は空を仰ぎ、月を見つけると切なそうに目を細めて想い人の名前を呟く。
でもそれは余りにも小さく、まるでその想いは叶わないのよとでもいうかのように、吐息と共に風に攫われていってしまった。
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