「あれ?ユウリ・・・それ、どうしたんだい??」

午後―日差しが落ち着きを取り戻し、お茶には丁度良い陽気の時間帯。
パスカルは、学友であるユウリの腕に煌めく【何か】を見つけた。

「え、あっ!これは、えっと、その・・・プレゼント?されたみたいで」

半ば疑問気味に、ユウリは指差された左手首を握りしめながら、首をかしげて言った。
その一言で、パスカルはユウリの腕に通されたシンプルなシルバーのブレスレッドが、親友のシモン・・・もしくは、あの傲岸不遜で魔王のような元上級生から送られた代物であることを瞬時に察する。
あー、これは触れちゃいけない話題に触れたかもしれない。と、パスカルは心の内で溜息をつきながらも、好奇心がむくむくと湧き上がってくるのを抑えられなかった。
一体、どっちが送ったのだろう。パスカルの知的好奇心のベクトルは、その1点に集中する。

「それ、誰からの贈り物なんだい?」

「んー、多分聞きたくない名前だと思うけど」

言い渋るユウリの様子からして、その洒落た贈り物はどうやら魔術師殿からのものらしい。
パスカルは額に手を置き、天を仰いで息を吐いた。どっと体が疲れた気がするのは気のせいだろうか。

「あぁ、アシュレイからか」

「うん、まあ・・・ね」

「それは、確かに聞きたくなかったかもしれないねぇ。それを聞いたら、ウチの王子様の眉間の皺が増えてしまうしさ」

「それって、シモンのこと?」

「勿論!昨日も、君の部屋に忍び込んだアシュレイに怒り心頭さ。お陰で、シモンの周りの空気が痛いのなんの・・・」

「え!?ごめんね、パスカル。アシュレイには、よく言っとくから」

心配そうにパスカルを覗き込みながら、実は凄いことを平然と言い切ったユウリに、パスカルは眩暈を起こす。
今のユウリの言葉を、親友の耳には言っていないことを願いながら、数学者の苦悩は続くのだった。



The mathematician's suffering

(それはどんな名医も治せやしない!)

パスカルは陰の苦労性だといいです
ルパートが苦労性と思いきや、彼はのほほんと回避してしまうので苦労まで行かないと、もっといいです
あと、ウラジミールも苦労性だといい
ウラジミールとパスカルが、陰で色々苦労性同盟とか組んでたり、シモンやユウリのことを話し合ってたりしたら可愛いと思う(!)
アシュレイは意外とユウリの言うことを聞いてあげたりしてるといいなぁ・・・
それであとから、色々請求したりする魔術師様はもっといいとおもうよ!(にこ!)

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