「あ、工藤くんだー!」 警官がうごめく赤い光と闇の中、やっほーと両手をぶんぶんと振り回しながらこちらに笑顔で走ってくる少女を見つけて、新一は苦笑しながら手を振り返した。 彼女と知り合ったのはつい最近のこと。もっとも、向こうは随分前から俺のことを知っていたらしい(まぁ、有名人だしな) 俺も、彼女の名前だけは知っていた。中森青子、2課のKIDに執念を燃やす刑事、中森警部の可愛い一人娘として彼女は署内でも有名だったのだ。 あの中森警部とは(悪いとは思うが)全然似ていない可愛らしい少女は、純粋というか真っ直ぐで、どこか新一の幼馴染を髣髴とさせる。だからだろうか、なにかと気に掛かるのは。 彼女との始めての出会いは警察署内という普通ではありえない場所で起こった。 丁度2課に要請され中森警部に暗号解読を頼まれていた新一は、父が家に忘れた携帯電話を届けにきた青子を紹介された。どうだ、工藤くん!うちの青子は可愛いだろう、やめてよお父さん!初めまして工藤くん、青子っていいます絶対KIDを捕まえてね!!!・・・たしかそんな会話だったような気がする。中森親子は親子してKID捕獲に執念を燃やしていたのが印象的だったのだ。 「そういえば、どうして中森さんはそんなにKIDが嫌いなんだ?」 今日はKIDの予告日だ。普段は居ないはずの青子は、たまたま近くを通りかかり、暗いから1人で帰らせるのは危ないということで新一が護衛代わりに傍にいる。まだ知り合って1週間。話すのが苦手な新一は終日前の少女との邂逅時に思った疑問を、今日の獲物が眠る洋館から少し離れたパトカーの前で、新一は青子に聞いた。すると、少女は俯いて黙り込んだ後、いきなり顔を上げて握りこぶしを握り締め、だってお父さんを取るんだもん!と天に向かって叫んだのだった。 次から次へと青子の口から湧いて出るKIDへの罵詈雑言に新一は呆気に取られ、そして思わず笑い出してしまった。何故なら、少女のKIDを嫌う原因の全ては自分の父との時間を取られたことによる不満だったのだから!最初は押し殺していた笑い声も、次第に漏れ始め、終いには腹を抱えて蹲るほどになってしまった。 これでは流石の青子も新一の様子に気が付いて、顔を真っ赤にして慌てて黙り込んだ。新一は、ごめんと謝りながら、まだ少し笑っているが、持ち前のポーカーフェイスで何とか押し込んだ。 「・・・そんなに笑わなくったって」 ぷぅ、と頬を膨らましながら睨む様はとても愛らしく、あんまり効果が無い。 ごめん、あんまりにも中森さんが可愛かったから、と新一は苦笑気味に青子の頭をぽんぽんと撫でながらそう言った。途端に青子は真っ赤な茹蛸と化して、工藤くんって心臓に悪いよと呟く。再度謝罪をしながら、じゃあお詫びにKIDに一泡吹かせてあげるから、と新一は笑いながら警備に向かう中森警部の背中を追った。 ぽかん、と取り残された青子は間抜けな顔をしていたと思う。でも、なんだかとっても可愛らしくてしょうがなかった。 そしてその日、新一の宣言どおりKIDは東の名探偵の手によって散々な目に合わせられ、後日風邪まで拗らせたという。 お陰で青子の機嫌は上機嫌。翌日の幼馴染に散々工藤新一の格好良さを話しながら、学校へと向かったのだった。 |
*lovely lovely* 君が喜ぶためなら、なんだって! |
マイナーですが新青(笑)
一番の被害者は快斗くんだと思うよ・・・ごめん
そろそろ、快斗が幸せな話を書かないとなんだか可哀想になってくる;
でも新青好きだなー
新一さんは蘭ちゃんより子供っぽい青子ちゃんにドキドキしてればいいよ!
頭を撫でるのがお気に入りとかそういうの萌えるww