なんか、今更なんじゃないでしょうかねぇ。
誰かが僕に囁いた。
何が?と問いかけても、返ってくるのは無音の闇だけ。
ウィルは急に、今、この瞬間、この場所にいることが恐ろしくなった。
深い緑の瞳を揺るがせて、黒とも茶ともつかない髪を振り乱し、ウィルは一目散に扉の前から逃げ出す。
なのに、何かが。そう、なにかウィルの知らない恐ろしいものが背後から無数の手を伸ばし、ウィルを扉の向こうに連れて行こうとするのだ。
ウィルはがむしゃらに前へと手を伸ばす。足を取られながら、必死で手を伸ばした先には、ウィルの今の主であるフィロソフォスが、笑いながら佇んでいた。

「ほら、ウィル。僕の言った通りだっただろう?世界は途方も泣く美しく、しかもとてつもなく汚らわしいのだよ」




本当は、もうとっくに知ってたのに








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