しとしとと雨の振る中、万事屋を訪れたのは昔なじみの竜だった。
深い闇のサングラス。視界をそんなに黒で染めて、そいつの世界には其れほどまでに見たくないものが存在しすぎるのだろうか、だなんて。考えて、思わず笑ってしまう。

(そんなの、わかりきってる)

わかりきってるのだ、見たくない現実や、忘れ去られた思い出も。もう、取り戻せない4人の関係。溝は、目に見えるほど深く、そしてさらに広がり、最後には奈落の底しかないように思えてしょうがない。
でも、地上で共にいられなかったのなら、奈落の底でなら一緒にいられるだろうか。それは許されるのか。
許されなくても、いい。あの過去の日々の様に、また4人で笑いながら酒でも飲み交わしたかった。ただ、それだけで。

「・・・なぁ、辰馬。俺達ってさ、ほんと、馬鹿だよな」
「なんじゃ、急に」
「ん、ふと思っただけー」
「そうじゃなぁ・・・でも、そんな馬鹿な自分や、おんしらが、わしは大好きぜよ」

黒いレンズの向こう、いつもは見えない辰馬の瞳が、まっすぐに俺を射抜いてる。
うん、俺も。俺も、お前らが、大好きだよ。お前らが好きな俺が好きだ。好きって言葉にならないくらい、かけがえのない大切な宝物だよ。
それは一緒にいられなくても、敵対してても、一生変わらない、俺の想い。

「そっか、うん。俺も、やっぱさ、好きだよ。お前らのこと、多分」
「多分とはなんじゃ、多分とは。まあ、わしの一等大きな愛はヅラのもんじゃきの〜」
「ははっ、なんだよそれ!気付かれてもないじゃねーか、一番大きな愛なのに」
「一番は、そんなもんじゃろ」
「そんなもんかな」
「そうぜよ」

うんうん、と頷きながら俺達は笑いあった。そうだな、そんなもんだよな。でも好きなんだよなぁって言ったら、辰馬は、もうこの想いは自分の一部だからだなんて笑って返す。
平和だ。穏やかで優しくて、あたたかい会話なのに、無性に涙が出そうなのはどうしてなんだろう。










( たいせつなものほど それは ぼくらのてから すべりおちていく )


辰馬と銀さんは、こういった所が凄くよく似ていると思う
っていうか、多分、互いに昔の話を話せるのが相手だけなんだと思います
2人だけが、過去の日々から抜け出して平和なきらきらと輝く世界に足を踏み入れた
それを後悔はしてないけど、それでも今のこの穏やかな世界に、あいつらがいないという喪失感を感じてる
絆は、切れてはいないんだと思う
だって、攘夷にある絆って、切れたりするようなやわなもんじゃない
もう、いっそ呪いの様であってもいい
はたから見ると、そんなもの断ち切ってしまえというものだけど、でも、本人達はそのつながりが愛しくてしょうがないんだよなぁ
そんな攘夷が書きたいです
にしても、私の書く銀さんは、どうも過去の仲間が大好きすぎる気がする
気がするじゃなくって、実際そうなんだけど笑

これ、今度続き書きたいと思います

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