「旦那、ねぇ旦那を俺だけのものにしたいって言ったら、あんたはどうするんでしょうね」





それは銀時が珍しく懐が暖かい日。行きつけの甘味屋で抹茶パフェを頬張っているときのことだ。巡回中の沖田が休憩と称してサボりに、銀時の前に座り、みたらし団子片手に零した呟き。まるで独り言のようにあっさりと、なのにどこか心を締め付けて離さない。

沖田が銀時に向かってありえないほど似合わない選択を投げかけた時、銀時は思わず、ぽろり、と手に持っていたパフェを掬った直後の銀のスプーン(なんだかとても安っぽくって無性に愛おしい)を床に落とした。
カシャン、と落下したスプーンが床をのた打ち回る悲鳴が聞こえる。
その間も、銀時の頭の中は沖田の言葉でめちゃくちゃに掻き回されて混乱の渦に飲み込まれる。なにが、と言葉が続かなかった。誤魔化すことさえ困難だ。
あぁ、いっそ聞かなかったことにしてしまえたならどんなに良いだろうか。

ごくり、と唾を飲み込む。さぁ笑え。頬の筋肉を少し上に持ち上げて、目じりを少し下ろせば、磔の微笑みの完成だ!
その笑みのまま、何か言ったかなと問い返せば、きっとこのまだ青い果実のような少年は引き返すだろう。いえ、なんでもねぇんでさァ。そう返ってくることは簡単に予想が付いた(伊達に長生きしていないさ)でも、上手くいかない。
今までまるで綿のようにゴムのように柔らかかった筋肉は、固まったように動かない。今自分がどんな表情であるかさえわからない状態で、銀時はとても焦った。


(どうしようどうしようどうしよう!)


きっと、ここが分かれ目だ。今、綺麗で曖昧な笑顔を作れたら、きっと今までと同じ道を歩けるだろう。でも、でも出来なかったら―。

ぐるぐると固まったままに思考回路が駆け巡る。
銀時は、このとき気が付いていなかった。どんなに今を誤魔化したって、目の前の少年の仄かな想いが消え去らない限り、その別れ道はいつだって銀時の前に現れることに。
いや、きっと無意識のうちに知らないフリをしているんだろう。だって、じゃなきゃ、そんなに必死にならないでしょう?





(馬鹿だなぁ、)

沖田は苦笑しながら、未だ固まり続ける銀色の鬼が解凍される瞬間を今か今かと待ち望んだ。


**


終わりの無い二者択一


沖銀同盟様に捧げますー;
遅くなって申し訳な・・・っ!
しかも意味不明です・・・あわわ、ゴミ箱へぽいっと捨ててくださってかまいませんので滝汗
なにはともあれ、会員100名突破おめでとうございます!!!
これからも頑張ってください
応援してますww
愁たん、だいすきじゃー!笑

2007.03・31
東京リドル;/すいこ





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